不妊治療について

1.不妊治療に対する心得(当院を受診する前に)

不妊症


【当院を受診する前に(その1)】

不妊治療を成功させる秘訣は、患者さん自身が自分の不妊原因をしっかり把握する事です。

それも本人のみならず、夫も充分理解をし夫婦そろって治療に対して全力を注ぐ事です。 その為に夫婦による勉強会を充実し、必ず夫婦揃って勉強会に参加し、不妊症の検査・治療を理解する事が大事です。
{ 夫婦不妊教室、夫婦ART教室(体外受精の為の勉強会)は必ず夫婦で参加して頂きます。 }

約1時間強の勉強会で不妊症の検査・治療の全てについてお話しする事は不可能です。
しかし、不妊症に関して全ての患者さんが知識がある訳は、ありませんので、少しでもそのさわりを教えておくとおかないとでは、全く知識の無い人にとって随分違いがあるのではないかと思います。 また、御主人に対して不妊検査・治療の必要性をしっかり伝えておきますと、妊娠への成功率が上がると考えております。

また、理解をより深める為に全ての検査・治療内容を特殊な婦人科記録ノートに記載。
新しい検査・治療の前には全て説明及び承諾書を作成し、院長から直接説明。尚も不明な点は助産師、看護師、受精培養士より再度説明。
未だ疑問があれば婦人科治療ノートに記入して来て頂く様に三段階の教育を行なっています。

また、当院は盆休み(8月10日前後の1週間)と正月休み(12月27日頃〜1月3日頃まで)以外不妊治療は年中無休です。通常排卵は月に1回、妊娠出来る年齢には限りがあります。短期間で集中して治療する事も妊娠への近道です。その為、当院のスタッフ全員、休日や祝日全て返上で不妊治療に取りくんでいます。

故に不妊症の検査・治療を行なう為には夫婦揃ってある程度時間的余裕を持って来院する事が必要となります。「週末しか来院出来ない」 「この日は来院出来ない」などと言っていると、きちんとした検査や治療が出来ず、何故不妊なのかが全く解明出来ませんし、妊娠も出来ません。
また当院は、1人目不妊の患者さんが中心である為、子供連れの方にはご遠慮願っております。ベビールーム等の託児施設のご案内もしておりますので宜しくお願い致します。



【当院を受診する前に(その2)】

私は元来習慣流産の専門であり、平成9年から社会的ニーズに応える為、不妊治療を真剣に行なう様になりました。
この12年間、自分一人の目で全く他の医師に診察を任せた事も無く自分が決めたプロトコールで検査・治療を例外なく行ないました。病気を理由に一度だけ採卵を中止させて頂いた以外全て一人の手で、治療を行なって来ました。
それは、大学病院や市民病院で不妊検査・治療を行なう場合、色々な医師が診察や治療を行なう為、画一化した検査や治療を行なう事が出来ず、データを出す際にも統計的に無意味なものになってしまうと感じていたからです。とにかく本文の如く、必ず同じ検査法と治療法を守り、その結果で何%程の人が妊娠に至るのか? その結果を出す事を目的として12年間スタッフも一丸となって年中無休(正月・盆休みのそれぞれ1週間は休みます。)で不妊治療に取り組んで参りました。(勿論正月や盆休みも単に休んでいるばかりでなく、自分自身の研修や職員の勉強の為に費やしていましたが。) そうこうしている中で、他院から転院してきた患者さんに対して、適切な検査・治療をすることにより、従来のタイミング指導で妊娠にするカップルをしばしば経験します。それらの症例について、今まで通院していた産婦人科に関して共通している点は以下の如くです。

1、 HSG(子宮卵管造影検査)を行なう前に感染症に対する対策を行なっていない。中にはレントゲン施設がなくHSGを行なわず通水又はレボビストによる超音波卵管検査しか行なっていない産婦人科も多い。
2、 週休2日制である。
3、 受胎指導をしていると言いながら、全く排卵(卵胞が破裂する事)を診ていない。
4、 受胎指導の際、全くフーナーテストを行なっていない。
5、 排卵誘発剤を使用していても排卵(卵胞が破裂する事)した卵胞の数をしっかり数えていない。クロミフェン(クロミッド等)を1年以上に渡って使い続けている。
6、 不妊に関しての勉強会を行なっていない。特に夫に対しての教育は全く行なわれていない。
7、 本人のみならず、夫に対しての禁煙を徹底していない。



不妊症カップルに対してその原因を検査する為には、まず感染症に対して充分注意をした上でHSGを月経後排卵前に行ないます。性感染症はオーラルセックスでも感染します。特にクラミジア感染症が疑われた場合は、その治療をしてからHSGを行ないます。卵管通過障害の無い症例は、その周期で受胎指導を行ないます。受胎指導で最も注意すべき点は、必ず卵胞が破裂する迄TVP(経膣式超音波)法にてフォローする事です。そして、その排卵を確認する前にフーナーテストを行ないます。(注意:フーナーテストは1周期だけでなく全ての周期に行なうべきです。)HSGに問題が無くしっかり排卵をしていてフーナーテストが良好であれば、まず一般的不妊検査で異常が無い事になります。加えて教科書的に、排卵後7日に着床期の検査を行ないます。(TVPによる内膜の厚さ、状態の確認、P4 E2の採血。)尚、血液検査に関しては月経周期が順調な婦人であればP4 E2はだれでも正常であると言っても過言ではありません。たったこれだけで不妊の一般検査は終了です。わずか1周期だけの検査ですから、必ず当院の方針に従って行なって頂かなければなりません。その為には、病院側も排卵日が日祝日に当たる様な場合も休みだから診察出来ないのではなく、休まずに診察をしなければ充分な検査が出来ない事は当然です。故に不妊治療は年中無休となるわけです。良く患者さんが、週末は旅行に行くとか、夫が不在だとかいう事を理由に来院を拒む事があります。その様な場合、当院ではその周期は検査も治療も行ないません。やるならやる、やらなければやらないです。いったいだれの為の検査・治療なのでしょうか? そもそも何年間も妊娠したくても妊娠に至らないカップルに対して受胎指導を行なうのに、いつもと同じ様な夫婦生活の指導をしていて、はたして妊娠出来るでしょうか? 少なくとも、排卵の直前に夫婦生活を頻回に行なう指導をした上、必ずフーナーテストを行ない、御主人の精子の状態が良好な事を確認した上で、卵胞が破裂する事を確認しない限り受胎指導ではない事をまず記憶しておいて下さい。


では、排卵誘発剤を使用する際はどうでしょうか? 若し、原因不明不妊症の患者さんに排卵誘発剤を用いて、過排卵を行なう時、通常の排卵数1ヶだけ排卵させていたのでは全く効果がない事は理解して頂けると思います。その際に2〜4ヶの卵胞が発育する事を目標として行なう事が一番有効と考えられます。5ヶ以上になると排卵の際のE2が2000pg/ml以上になったりP4が1、0ng/mlを越えてしまい子宮内膜の状態が悪化し着床障害を生じ妊娠しにくくなるとされています。また発育卵胞が2〜4ヶであっても排卵(卵胞が破裂する事)した卵胞が1つで残りの卵胞がLUF(黄体化未破裂卵胞)になっては全く意味がありません。故にクロミフェンやHMG等の誘発剤を使用した際、「あとは適当に夫婦生活をしておいて、また月経が来たら来院して下さい。」といった指導をしている産婦人科では、その効果がどうであったかを全く知るよしもなく、その様な治療を漫然と続けていては妊娠する確率は当然低くなります。

またクロミフェン(クロミッド等)について、何の説明も無く長期間に渡って投与し続けられている症例も目立ちます。排卵誘発剤や、促進剤としてクロミフェンはとても有効なお薬と考えます。しかし、元来クロミフェンは抗エストロゲン様作用を避妊薬の目的として開発された経緯もあり、乳癌の治療薬であるタモキシフェンと同じ様な構造をしています。つまり、余り長期間クロミフェンを投与し続けると、逆に子宮頸管内膜や子宮内膜の発育を悪くし、結果的に避妊効果の方が強くなってしまう事があります。
故に、クロミフェンを投与され「排卵日頃に夫婦生活をして来て下さい。」と言われ、月経が来る度にクロミフェンを処方してもらいにいっている症例は一生妊娠出来ない可能性もあるのです。

最後に、不妊治療というものは夫婦で行なうものです。当院は必ず御主人も同伴で夫婦不妊教室を行なっています。不妊症には必ず夫側にも妻側と同程度に原因があると考えられます。例えば夫が喫煙をしていたり、飲酒を好むようであれば、中止する事を強く勧めます。妊娠にとって不必要で害のある事は全て中止して頂きます。勿論、それを拒む者に対しては、充分な治療効果を得られない事を理由に、今後の当院での治療も拒否する場合もあります。何度も申し上げますが、だれの為の治療でしょうか? 御夫婦にとってのかけがえの無い子供を得る為に行なう治療です。根本から考え方を治して頂くのもそれ程苦痛を伴う事でないと思います。不妊治療の成績は年齢と共に低下していくのは周知の事です。少しでも早目に治療を行ない、ステップアップしていく事が一番大切な事である事も認識して頂きます。その由を充分理解して頂いた上で治療の行なえた御夫婦の成功率は当然高くなります。少しでも短期間で妊娠し得る様に一時的にでも不妊治療に集中する事をお勧めします。

あなたが今通院している産婦人科は

1、 HSG(子宮卵管造影・レントゲン検査)を行なっていますか?
HSGを行なう前に感染症に対する対策をとっていますか?
2、 毎日年中無休で診察を行なっていますか?
3、 受胎指導(タイミング指導)を「あさって頃夫婦生活をして下さい」とか、
「もうじき排卵しますよ」とか言って、排卵の確認をしないでいませんか?
4、 フーナーテストを毎回行なっていますか?
5、 排卵誘発剤を使用する際に排卵(卵胞が破裂)した卵胞数を教えて頂いていますか?
クロミフェンを長期間服用し続けさせていませんか?
6、 夫に対して充分指導をしていますか?
7、 本人のみならず、夫に対しての禁煙を指導していますか?


とにかく不妊治療とは、子供さんが授からねば全く無意味と考えます。それもなるべく短期間で簡単な方法で妊娠したいものです。不妊治療を開始する前に、その様なポイントを要点として病院の検索をされる事をお勧めします。不妊治療の為に、懸命に取りくんでいる医療機関は、意外に少ないかも知れませんが…。



【当院を受診する前に(その3)】

不妊症カップルは近年増加傾向にあると云われています。結婚するカップルの年令が高齢化する為に不妊症カップルは増加していると考えられます。高年令のカップルが妊娠しにくい事は周知の事実です。しかし、単に高年令だから妊娠しにくいだけなのでしょうか?

現在のライフスタイルとして、女性の高学歴化が進み妊娠でもしなければ結婚を望まない女性が目立ちます。男性との関係があったとしても、妊娠をしない様に(避妊を)している女性が殆んどです。しかし、避妊をしているつもりでも、日本は、経口避妊薬を服用する習慣が少ない為、経口避妊薬を服用せずに一般的な方法(コンドーム等)で避妊をしているカップルは自然に妊娠する可能性が高く、妊娠してしまったカップルは已むを得ず結婚しているパターンが多いのが現状です。つまり、妊娠しない女性が結婚に至らず、結果的に高齢化しているとも考えられます。

また、一般的に挙児希望後1年経過しても妊娠しない夫婦を不妊症としています。 では、挙児希望を持たない夫婦が子供が出来ない場合は不妊症ではないのでしょうか?  婦人科的に見ると、確実に子供を妊娠しないようにする為に、卵管結紮術を行なったり、経口避妊薬を服用する事により99、5%程度の避妊効果は認められます。しかし、その他の避妊法では比較的高率の夫婦が妊娠に至ります。一見避妊をしているつもりが実は妊娠出来ない不妊症夫婦である事が少なくないのが実情です。

今、結婚しないで独身貴族を楽しんでいる女性や、結婚をしていても避妊をして子供のいない生活をエンジョイしている御夫婦も、もしかしたら不妊症なのかも知れない事を念頭に置いて下さい。少しでも早く、妊娠を試み、より早く不妊症である事を知る事が不妊症にならない最良の策であると言えます。



【一般不妊検査に関してその流れ】

不妊に対する心得(当院を受診する前に)その1、その2、その3をしっかり読んでいただけましたか?

1、 月経中に当院を受診することが可能ですか?
2、 ご夫婦で月曜日(場合によって変更有り)の午後6:30から夫婦不妊教室に参加し、約1時間の不妊に関する講義を真剣に受講できますか?
3、 .タバコを吸っている人は本人のみならず、ご主人も止められますか?
4、 今後の通院に関して、当方が受診する事を勧める日時に問題なく来院出来ますか?特に平日の受診は可能ですか?
5、 若し上の子供さんがお見えの方は、その子を預けて来院できますか?
なお、現在他院に通院中の方は、紹介状等は全く必要がありません。
当院は独自の検査方針をとっております。もし今迄のデータ等がありましたら持参していただくだけで結構です。

月経中に来院して頂いた時の流れ

1、 まず、問診表を書いて頂きます。
2、 そこで問診室に入ります。
3、 .あと採尿カップに尿を入れた上で待合室でしばらく待っている間に不妊に関する書物に目を通して頂きます(当院は予約制で行なっていますが、その日の診察の混み具合によって、予約時間通りにいかず若干お待ちいただく場合もございます)。
4、 番号札の番号を呼ばれましたら診察室にお入り下さい。

診察室へ入ってからの流れ

1、 院長より今迄の経過についての質問があります(院長は一目気難しい性格に見えますが、うわさほどではありませんのでご安心下さい)。
2、 診察内容について
  a. 月経中であれば月経血検査(病原菌培養等)
  b. 子宮頸管粘液検査(細胞診・クラミジア抗原等)
  c. 経膣式超音波検査
3、 再び院長より若干の話しがあります。 その後はほとんどの場合、夫婦不妊教室(一般不妊検査について今後の方針をお話しする会)への出席となります。夫婦不妊教室は多少の変更はあるものの、だいたい毎週月曜日のPM6:30より行なっております。

診察室を出てから 助産師(不妊カウンセラー)、看護師、胚培養士(エンブリオロジスト)より次回の夫婦不妊教室に関するお話があります。

2.一般不妊検査について

不妊治療


【1】初診(なるべく月経中に来院する事を勧めます。)


【検査内容】
1.超音波検査(断層撮影法)
2.月経血抗酸菌塗抹 月経血抗酸菌培養
3.クラミジアトラコマーティス抗原(子宮頸管)
4.子宮膣頸部 細胞診

当院独自の婦人科記録ノート(検査結果や治療に用いた薬剤の投与量も全て記入しお渡しします。)


【2】夫婦不妊教室(必ず御夫婦で出席)


重要な事は、本人のみならずご主人も不妊に対して充分な知識を得る事です。
そして、ご主人も不妊に対して前向きになって頂きます。
勿論 禁酒・禁煙及び夫婦生活に対しては厳しい指導があります。


【3】子宮卵管造影法(HSG)

月経終了後排卵前に施行。
当院は、原則としてシリコンバルーンカテーテル法で行なう為、腹痛は卵管通過障害がない限り全くありません。心配なく検査を受けて下さい。
同時にクラミジアトラコマーティス抗体(IgG・IgA ELISA法)と抗精子抗体(不動化法)の検査を行ないます。


【4】受胎指導とフーナーテスト(性交後試験)


月経周期日数マイナス16日頃より卵胞発育を観察の上、尿中LH検査 (GCIA法)によるタイミング合わせフーナーテストを行ないます。約4〜5日の通院が必要です。
尚、フーナーテスト不良者は御主人の精液検査を行ないます。


【5】排卵後7日目頃卵胞ホルモン(E2)黄体ホルモン(P)の検査及び子宮内膜の厚さ状態を診察します。

以上で一般的な不妊検査は終了です。それぞれの結果をふまえて方針の決定へ・・・

3.原因として考えられるもの


 【女性側の原因】

 【男性側の原因】
 1.月経の周期が不順
 2.排卵が無い
   ・多嚢胞卵巣(PCO)
   ・卵巣性
   ・視床下部性
   ・下垂体性
   ・高プロラクチン血症
 3.LUF症候群
 4.子宮内膜症
 5.卵管の異常
   ・卵管閉塞
   ・卵管水腫
 6.骨盤腹膜癒着
 7.フーナーテスト不良
 8.抗精子抗体陽性
 9.クラミジア感染症
 1.乏精子症
 2.無精子症
 3.ED
 4.フーナーテスト不良
 5.逆行性射精
 6.クラミジア感染症

しかし、一般的な不妊検査で原因の解からない原因不明不妊症々例は約32%に認められます。

4.一般的な治療の流れ

原因の明確な症例に関しては、それぞれ疾患に対しての治療を行ないます。
詳しくは通院中に御指導致します。
その場合、妊娠に至る確率は比較的高いのが現状です。

原因不明不妊症例の症例に関しては、まず禁酒・禁煙を徹底し、比較的頻回に性交を行なう受胎指導を行なう事により、その約30%は妊娠に至ります。
しかし数回の受胎指導にて妊娠しない症例に関しては、以下の異常が考えられます。

1、 卵胞内卵子発育障害(卵子の発育しない者、卵子の発育の悪い者、卵子が卵胞外へ排出しない方)
2、 卵管采卵子ピックアップ障害
3、 受精障害
4、 受精卵発育障害
5、 受精卵着床障害

以上、全て肉眼ではとらえる事の出来ない状態である為、一般的には卵子を複数排卵させる治療(過排卵治療)を行ないます。


過排卵治療とは?
人間の排卵は月に1ヶである場合が多い為、2〜4ヶの卵子を排卵させる治療を行ないます。その目的は以下の如くです。

1、 卵胞内卵子発育障害の症例の場合は、卵子を沢山発育させる事により発育良好な卵子の数を増やす目的。
2、 卵管采卵子ピックアップ障害症例の場合、沢山排卵させて卵管采が卵子をピックアップする確率を上げる事により妊娠する確率を上げる目的。
3、 受精障害や受精卵発育障害症例の場合、沢山の卵子を得る事により受精し易い卵子や発育良好卵子の発生する確率をあげる目的。


【過排卵治療の方法】
数周期過排卵治療を予定致します。(希望により多少の期間短縮はあります。)
しかし原因不明不妊症に対する過排卵治療による妊娠の成功率は、約12%程度であり、その後は、体外受精による治療をお勧めしています。


【その他】
下記不妊治療に関する補助医療も充実しております。
A)リラクセーションルーム(サンビーマー、シャンプーユニット)
B)鍼灸治療
C)栄養指導

5.体外受精治療について


<体外受精治療の対象となる症例>

(1)
a.卵管通過障害(卵管閉塞、卵管水腫)
b.骨盤腹膜癒着
c.抗精子抗体陽性者
d.子宮内膜症
e.乏精子症

(2)数回の過排卵治療を行なっても妊娠しない原因不明不妊症の症例

(3)種々原因に対して数周期に渡って治療したにもかかわらず妊娠に至らぬ症例


★この際再び御夫婦で夫婦ART教室に出席して頂き、約1時間院長より直接説明があります。
当院では体外受精に関する倫理規定があり、それをクリアした症例だけ体外受精を行なう事となります。
夫婦揃って必ず出席し、しっかり勉強する事をお勧めします。その後、料金についても詳しくスタッフからの説明があります。

尚、藤澤フラウエンクリニク倫理委員会は、桝田潤一顧問弁護士も出席し定期的に行なわれています。


※【注意】
体外受精希望の方は、まず治療前検査・内科検診を行ないます。必ず、体外受精を行なう前に来院して下さい。

6.妊娠に至ったら

不妊症

もともと当院は習慣流産治療の専門であった為、妊娠初期の管理には細心の注意をはらっております。自然に妊娠した場合と不妊治療をして妊娠した場合とでは、妊娠経過に特別な差はないと考えます。
しかし、妊娠し易い人に比べ妊娠しにくい人が妊娠した場合、妊娠中に異常を来たす可能性は高いと考えても考えすぎではないと思います。

まず重要な事は、精神的・肉体的な安静です。その他、胎児の発育を経膣式超音波検査や、血中HCG測定等により頻回に検査し、母親を安心させる事も欠かせません。週に1〜3回受診して頂きます。 場合によっては子宮収縮抑止剤や黄体ホルモンの投与も行ないます。御主人や周りにいる人達にも協力して頂き、母体にとって安静の保てる環境を作り出す事が必要です。勿論タバコは御主人のみならず家族や友人にも止めてもらいましょう。 妊娠10週以後は希望者のみ妊娠記録を作成の上妊娠経過を観察する為に必要な検査を全て毎回行なった上、妊娠34週までフォローします。その後は、当院と関連のある病院または産科医院へ紹介致します。

【妊娠記録】
尚、藤澤フラウエンクリニク妊娠記録は平成7年開院当初より、妊娠中の管理を慎重に行なうべく独自に作成したものであります。無事妊娠34週迄至った場合は、患者さんに謹呈致します。

7.不妊症に対する考察

現在、当院で体外受精を行なう際に生じている問題点・疑問点を順を追って考えてみます。個々の症例の治療方針については、実際に患者さんと充分 考えた上で決定しています。全ての症例によって全て治療方針は違います。また一人の症例についても治療法は一つに限らず色々な方法があると考えられます。それは、未だ体外受精治療は完成されたものではなく、これからどんどん進歩・変化していく治療法であるからです。

今回、ここに挙げた問題が数年後に解決しているものもあり、現在正しいと考えられていたものが全く間違っている事も少なくありません。
故に体外受精治療とは現時点で、ある程度解かっている事実を基に患者さん夫婦と相談し、一番自分に合った治療法を選ぶことが重要と考えます。若し行き詰った場合、結論は奥様の思う様に行なう事をお勧めします。何故なら、採卵し妊娠し分娩するのは、奥様御本人ですから。



1)挙児希望を主訴に来院した症例に対して

(1) 婚姻関係にない夫婦(事実上婚)に対して不妊検査・治療を行なうべきでしょうか?
  当院では倫理委員会の規定上、婚姻関係にない夫婦に対する治療は一切行なっていません。

(2) 不妊歴とは、どう判断するのでしょうか?
  (a) 結婚後、一般的な避妊法(経口避妊薬以外)で避妊をしていた場合でも、その期間は含めず、夫婦で挙児を希望した時期より現在に至る迄の期間を不妊期間としています。
  (b) 避妊を行なわずに事実上婚の状態でいて、その後入籍した夫婦に関しては、事実上婚の始まった時期を以って不妊期間としています。

(3) 不妊歴を何年で以って不妊症と考えますか?
  アメリカでは1年(最近は6ヶ月とする考え方が多い様です。)、日本では2年としていますが、当院は約1年を以って不妊症と判断しています。
尚、本人が35才以上である場合は、1年未満でも治療の対象とする場合もあります。

(4) 不妊治療に対する一般的検査
  当院は独自の方針で不妊検査を行なう為、患者さんが負担を感ずるかも知れませんが、もう1度初めから(夫婦不妊教室から)検査を行ないます。その為、他院からの紹介状は原則として不必要です。

(5) 一般不妊検査の中に腹腔鏡(LS)を入れるべきでしょうか?
  当院ではLS設備がない為、豊川市民病院へ紹介しているのが現状です。故に、HSGにて異常を認め、夫婦が希望する症例のみ豊川市民病院へ紹介しています。LSは治療手段として考えています。

(6) 卵管通過障害・骨盤腹膜癒着・子宮筋腫・子宮内膜症等の器質的な疾患を認める者に対して、外科的手術(腹腔鏡・カテテリゼーション等)を積極的に行なうべきでしょうか?
  (a) 卵管閉塞・卵管水腫・骨盤腹膜癒着の症例は出来る限り、腹腔鏡(豊川市民病院へ依頼)による検査・治療を勧めています。特に卵管水腫に関しては、腹腔鏡を行なった際には必ず切除する様に依頼しています。しかしながら、腹腔鏡によって器質的な疾患を治し、その後一般的な不妊治療で妊娠を期待する目的意識は薄いと考えます。どちらかといえば体外受精治療の成功率を上げる為、不都合な部分を切除したり治療したりする目的が主であります。  カテテリゼーションに関しては、その技術的に勝れた医療機関が近くに無い為、全く行なっていません。一例のみ転居の為、日本医大へ紹介しただけです。
  (b) 子宮筋腫に対しては、その大きさが7cmを越える者や、子宮内腔の変形の著しい者に対しては開腹手術・腹腔鏡・TCRによる治療を豊川市民病院に依頼しています。 しかし、それ以外の症例に対しては、私の経験上妊娠に対する影響は少ないと考え、また手術をする事による卵管の癒着・OPU障害の発生等が危惧される為、敢えて行いません。
  (c) 子宮内膜症に対しては、その主な原因がOPU障害・卵子発育障害など子宮内膜症の存在そのものが不妊の原因となっている場合が多く見られます。つまり、妊娠に至る事が最良の治療法です。早期の体外受精治療を行なう事が望ましいと考えます。 尚、採卵の際に内膜症が手技上に困難を持たらすと考える場合は、内容穿刺の上アルコール固定を行ない早急に体外受精を行なっています。不要な手術はかえって卵巣内の残存卵子を損傷してしまう場合が多い為、出来る限り行なわぬ様に説明しています。

(7) 従来の検査で原因不明とされた機能性不妊症々例に対して
  (a) 受胎指導(タイミング指導)を行なうべきですか?
    本人や夫が喫煙をしている症例や、夫婦生活が極端に少なく排卵日と思われる日のみ行なっている症例に対しては、禁煙の完全実施及び、夫婦生活を頻回に行なう指導を行なう事により30%程の症例が妊娠に至る為、それぞれの症例の環境に合わせて1〜2周期までの受胎指導は行なっています。
  (b) 過排卵治療を行なうべきですか?
    当院のデータでは、クロミフェンやHMG・FSHを用いた過排卵治療(排卵数2〜3ヶ)を5〜10周期行う事により約12%の症例が妊娠に至っています。本人が34才以下の症例や、不妊歴の短い症例に対しては、現在クロミフェン3周期、HMG・FSH3周期の過排卵治療を行ないます。しかし、35才以上の症例や他院での治療歴の長い症例に対しては、その症例の排卵能力を見極める為に1〜2回排卵誘発剤を使用し、その後は積極的に体外受精治療を行なう事としています。
  (c) 腹腔鏡(LS)を行なうべきですか?
    機能性不妊症々例に目的も無くLSを行なって、本当に治療効果があるかは全く不明と考えます。何にも器質的な疾患が無い者にLSを行なえばかえって癒着を発生させる可能性があります。また、保険適応を取る為に、必要もないのに卵巣に対するレーザー焼灼を行なった場合、残存卵子を破壊する事にもつながると考えます。故に、LUF(黄体外未破裂卵胞)やOPU障害の疑われる症例に対し癒着の有無を確かめる目的以外、余り意義があるとは思いません。



2)体外受精を行なう際の問題点・疑問点


(1) 採卵の際の麻酔方法について
  麻酔を行なう事自体、患者さんに対してのリスクが1つ増加する事となります。麻酔を行なわずに採卵が可能であれば、それで構わないと思います。患者さん自身が麻酔によるトラブルを経験していたり、麻酔を行なう事と採卵が同程度の苦痛を感じるものであれば、麻酔を行なう必要はありません。
しかし、患者さんが採卵に対して強い恐怖心を持っている場合、「麻酔をしますから」という言葉によって安心出来ます。採卵の際に患者さんが抑制出来ない状態になっては採卵が行なえません。また、麻酔の種類も症例によって決める必要があります。例えば卵胞数が10数ヶ以上ある場合や、経子宮的に採卵を行なったり癒着の強い症例に対しては、しっかりとした効果の有る麻酔法が望まれます。 その様な場合、麻酔医による全身麻酔が望まれますが、経済的な理由や立地条件によって必ず麻酔医が立ち会えるクリニクは限られて来ます。当院では已むを得ず、硬膜外麻酔(1、5%キシロカイン10〜15ml)による採卵を行なっています。
しかし、簡単な採卵の際は、ペンタジン(ソセゴン)の静注+膣壁局麻(1%キシロカイン5ml)で行ないます。 患者さんのアンケートによれば、確かに無麻酔での採卵は可能ですが、やはり鎮痛剤を投与を希望する患者さんが多い為、大半の症例に麻酔を行なっています。

(2) 採卵針に関して 採卵針の太さは20〜18Gです。
  当院では患者さんに対する侵襲軽減の為20〜19Gの細い針を使用しています。細い針を使用する事により卵胞内壁を掻爬し易くなり、吸引圧を上げる事で時間も短縮出来る為、太い針を使う必要はないと考えます。

(3) 採卵後媒精・ICSIについて
  初回採卵の症例に対して、精子を原因とする受精障害が強く疑われる症例以外は、受精障害の原因が卵子側か精子側か判断がつかなくなる為、原則としてICSIは行ないません。患者さんが強くICSIを望む場合は、やむを得ず卵子数の半分以下にICSIを行ないます。

(4) 媒精により受精した胚とICSIにより受精した胚のどちらが質的に優れるのでしょうか?
  媒精により受精する卵であれば、その卵にICSIを行なった場合より胚盤胞へ到達する確率は普通に媒精した胚の方が多いと考えられています。しかし、精子によるストレスや精子に付着している細菌等による感染により、普通の媒精に比しICSIの方が合理的であるという意見もありますから、はっきりとした結論は得られていないのが現状です。
また卵子・精子のその時の状態や、ICSIを行なう時の状況によっても結果に影響がある為、その都度方法を考えながら行なう事も必要と考えられています。
また、ICSIを行なって出生した人が次の世代を出産していない点、精子をヒトの手で選別する為、受精にとって最良の精子が必ずしも選べない点、細胞質内に損傷を与えたり細胞質内の染色体にも影響を与えかねない点等、ICSIにはまだ未解決な点が多い事も事実です。

(5) 受精卵の凍結は、本当に安全な手段と言えるのでしょうか?
  凍結胚により出生した人が次世代を出産する迄に至っていません。遺伝学的な事や発癌性等遺伝子上の問題も解決されていない為、患者さんに充分説明すべきです。しかし、現時点では、成功率を上げる目的としては、必要な手段と考えられる為、行なっているのが実情です。

(6) 胚盤胞培養に関しての問題点・疑問点
  当院は、体外受精・胚移植に関して、なるべく「人為的な操作は最小限に」を原則としている為、まず自然の媒精により得られた胚を2〜8細胞(2〜3日培養)に育て、新鮮胚を同時周期に移植する事としています。 しかし、卵管に異常のある者(卵管閉塞・卵管水腫等)に関しては、胚盤胞の状態で移植する方が妊娠率も高いとの事で、患者さんに説明の上、胚盤胞培養胚移植を行なっています。
また、1回目の体外受精・胚移植で妊娠に至らなかった症例について、胚の発育異常の有無について患者さんが質問される場合のみ次回の体外受精の際には、患者さんの同意を得た上で胚盤胞培養を行なっています。また、近年、多胎妊娠の防止が問題となっています。多数の卵子が採取出来た場合、無駄な胚移植を避ける為、胚のグレードを判断する必要がある際は、胚盤胞培養も必要な手段となります。
また、多数の胚を凍結保存する際にも(凍結保存する事も数によりコストが高くなる為)出来れば発育の悪い胚は廃棄したい為、胚盤胞培養を行なう事も必要であると考えます。 胚盤胞培養が胚にとってgood. incubatorか否かは、胚によって違うと考えられます。症例によっては卵管内より培養器中の培養液の方が胚の発育が良好になる場合もあります。故に、4〜8細胞にて胚移植しても妊娠に至らぬ症例に対しては積極的に胚盤胞培養を行なう価値はあると思われます。 他方、胚盤胞培養で1卵性双胎が若干増加する事も懸念されています。1卵性双胎の流早産率の高さは周知の事である為、この事も念頭に説明しておく必要性もあります。

(7) mechanical AHA やchemical removal of zona pellucidaに関しての問題点・疑問点
  文献的には、発育の遅い胚やグレードの低い胚、37才以上の症例、凍結胚、透明帯の厚い硬い胚に対してAHAを行なうと妊娠率が増加するとされているものもあります。卵子に対するAHAの影響も否定出来ませんが、当院では発育の不良な胚、透明帯の厚い胚及び良好胚にもかかわらず着床出来なかった場合のみAHAを行う様にしています。AHAについてはmechanical(PZD)を主法とし、用窓部は一ヶ所に限定しております。それでも妊娠に至らぬ症例はProfease(蛋白分解酵素)を用いた透明帯除去法を行なっています。 AHAに関しても出生児の将来的な安全も証明されていない為、安易に行なうべきでないと考えます。

(8) 妊娠数は単胎か双胎か?どちらが望ましいでしょうか?
  最近の傾向としては双胎妊娠の胎児に対する悪影響を重要視しています。また、体外受精を行なう症例は高齢(35才以上)の症例が多く、胎児の染色体異常の確率も高くなります。妊娠16週で羊水検査を行なう際、双胎妊娠は手技上手間がかかる事や、若し1人が染色体異常であった場合、1人のみ減数する事が困難である事を鑑み、やはり単胎妊娠が望ましいと考えます。

(9) 体外受精の成功率とは
  体外受精の成功率とは、採卵1回について生児の得られる事(生児取得率)を示すと考えます。体外受精や顕微授精を行なわなければ妊娠しないであろう症例に対して、同治療を行なった場合現時点(2004年)で何%の症例が生児を得られるでしょうか?私は、15〜20%と考えます。何故なら、妊娠適性年齢を過ぎそれ迄に妊娠した事の全く無い32才前後の女性が体外受精治療を行なう事により50%以上も妊娠したとすれば、多分、厚生労働省も体外受精治療を保険適応とするでしょう。そして、不妊症々例に対して初めから、全て体外受精治療を行なった方が良いと考えます。現時点で生児取得率が50%を越える値を示している施設はあり得ないと考えます。

(10) 体外受精治療全体を通して言える事ですが各症例によって各々に適した排卵誘発法、受精法、胚培養法があります。故に、余り画一化した内容の治療を行なうと、それに適さない症例は全く妊娠しない事になります。今後技術的な進歩が一番望まれる事です。各症例に一番安全で適した治療法を早急に見出す事が、妊娠成功への近道と考えます。

8.不妊治療料金(自費料金分)

初診料  7,000円〜8,000円
再診料  500円
採卵前血液検査料  約12,000円
術前検査(他院)  6,090円
ホルモン値検査  約5,000円
排卵誘発剤  FSH  75単位  2,000円
 150単位  2,500円
 225単位  4,000円
 300単位  4,500円
         HCG  5,000単位  1,000円
         セトロタイド    10,000円
休日料金  3,000円(一般:1,500円)
体外受精−胚移植  
  硬膜外麻酔一式  20,000円
  静脈麻酔一式  10,000円
  その他衛生材料一式  5,000円
 採卵料  顕微授精料  凍結料
1〜3ケ  120,000円  30,000円  30,000円
4〜6ケ  140,000円  40,000円  40,000円
7〜14ケ  160,000円  50,000円  50,000円
15〜19ケ  180,000円  60,000円  60,000円
20〜  200,000円  70,000円  70,000円
採卵数0ケ  75,000円
採卵キャンセル  30,000円
受精培養料  60,000円
胚盤胞培養料  30,000円
子宮内胚移植料  30,000円
解凍胚移植料  35,000円
胚移植キャンセル料  5,000円
次年度追加保存料  10,000円
ホルモン補充療法(必要時)  
  エストラダーム  1枚140円×枚数+処方料700円
  プロゲホルモン  (500円+500円)1,000円
  デュファンストン  6錠250円×日数+処方料700円
  ドオルトン  8錠120円+処方料700円
   21錠300円+処方料700円
  プロゲホルモン膣座薬  1本200円×本数+調剤料2,400円+処方料700円
  点鼻薬 イトレリン  1本 8,500円

※上記料金は全て消費税込


薬剤の料金については、使用薬剤の種類・薬価の変動により若干の変更があります。
宜しくご了承ください。


体外受精・胚移植に関して、必要と想定される全ての検査・治療を行なった場合の料金は、 トータルで約50万円です。
必要と想定される全ての検査・治療は下記の如くです。


1.体外受精前の健康診断
2.体外受精を行なう前の排卵誘発剤(注射約10日間)
3.静脈麻酔で経膣式採卵を行ない10ヶ採卵し全て培養
4.採卵した卵のうち5ヶに顕微授精
5.受精卵全て胚盤胞培養
6.胚盤胞に5ヶ育ち全て受精卵凍結
7.次周期の排卵に合わせて胚盤胞3ヶ解凍胚移植
8.胚移植後8日の妊娠判定(血中HCG定量)

注意:尚、顕微授精・胚盤胞培養・受精卵凍結は症例によっては行なわない場合もあります。
その際は、その料金分安くなると考えて下さい。
また、月経周期の不順な症例や排卵の無い症例では、ホルモン補充後解凍胚移植を行なう事もあります。その場合は別途2万5千円程、必要となります。